『ザ・クラウン』最強キャラクター・ランキング
~大英帝国の玉座を本気で守り、動かし、時には壊した者たち~
Netflixが誇る史上最高級の王室ドラマ『ザ・クラウン』(全6シーズン完結)。
ただの歴史ドラマではなく、「権力とは何か」「血統とは何か」「個人と国家の狭間でどう生きるか」を容赦なく突きつける超大作です。
ここでは「最強」の定義を以下のように設定しました:
- 国家・王室に対する実質的な影響力
- 政治的生存能力・適応力
- 精神的な強靭さ(時代や世論に屈しない力)
- 歴史に残したインパクト
ネタバレ全開です。未視聴の方はご注意ください!
10位:アンソニー・イーデン(シーズン1-2/Jeremy Northam)
1956年スエズ危機で首相を辞任に追い込まれた男。
政治的には完全に敗北したものの、「帝国の終わり」を正面から受け止め、潔く退場した精神的な強さは評価に値する。最弱の首相でありながら、最も「潔い」敗者。
9位:ハロルド・ウィルソン(シーズン3-4/Jason Watkins)
労働党首相。庶民出身で王室と距離を置くはずが、エリザベス2世と意外な信頼関係を築く。
経済危機や党内抗争に晒されながらも、ユーモアと現実主義で生き延びた。シーズン3最高の「人間味ある政治家」。
8位:ルイス・マウントバッテン(シーズン1-4/Greg Wise → Charles Dance)
王室の「軍人おじさま」。チャールズ皇太子のメンターであり、シーズン1ではクーデター計画まで考える過激派。
1979年にIRAに暗殺される最期まで「帝国の栄光」を信じ続けた狂気と忠誠心の化身。
7位:王子フィリップ(全シーズン/Matt Smith → Tobias Menzies → Jonathan Pryce)
「王室に嫁いだ男」として一生屈辱を味わい続けた人物。
不倫疑惑、月面着陸への嫉妬、教会への逃避…どれだけ暴れても、最終的にはエリザベスの隣に戻る。
「男のプライドを捨ててでも王室を選び続けた」点で、実は異常な精神力の持ち主。
6位:マーガレット王女(シーズン1-4/Vanessa Kirby → Helena Bonham Carter)
王室で最も自由を欲した反逆者。
ピーター・タウンゼントとの恋愛を禁じられ、写真家アントニー・アームストロング=ジョーンズとの破壊的結婚を繰り返す。
シーズン4の「私は王室の犠牲者だ」という叫びは、全シーズン屈指の名シーン。
自由を奪われ続けたからこそ、精神的に最も脆く、同時に最も鋭い刃を持っていた。
5位:ダイアナ妃(シーズン4-6/Emma Corrin → Elizabeth Debicki)
「人民の王女」として王室を内側から揺るがした台風。
メディア操作の天才であり、被害者としてのカリスマ性で世論を完全に掌握。
チャールズとの離婚協議で「王室を終わらせる」と宣言し、実際に1997年の死によって王室は最大の危機を迎えた。
生きている間は「弱い被害者」だったが、死後に王室を最も変えた存在。歴史への影響力はトップクラス。
4位:マーガレット・サッチャー(シーズン4/Gillian Anderson)
英国史上唯一の女性首相。エリザベス2世と真正面からぶつかった唯一の政治家。
フォークランド戦争勝利、経済改革、冷徹な決断力。
女王との対立シーン(特に「あなたは冷たい女だ」と言われる場面)は、シリーズ最高の緊張感。
「鉄の女」の異名は伊達じゃない。国家を動かす実質的権力では女王をも凌駕した時期があった。
3位:チャールズ皇太子 → チャールズ3世(シーズン3-6/Josh O’Connor → Dominic West)
王室史上最も長い「待機」を強いられた男。
母との確執、ダイアナとの破綻、カミラとのスキャンダル…全てを耐え抜き、2022年に実際に即位。
シーズン5-6で描かれる「母への憎悪と愛情の葛藤」は圧巻。
「待つこと」を強要され続けたからこそ、即位後の現実のチャールズ3世は驚くほど落ち着いている。
耐久力という意味で異常な強さ。
2位:エリザベス2世(全シーズン/Claire Foy → Olivia Colman → Imelda Staunton)
一見すると最強に思える女王。
25歳で即位し、70年以上の治世。14人の首相を見てきた不動の象徴。
しかし本作が容赦なく描くのは、「女王であるがゆえに何もできない」という究極の無力さ。
家族を救えず、時代に流され、感情を殺して「王冠」を被り続ける。
その「耐える力」は確かに最強クラスだが、同時に「変えられない」という最大の弱点も抱えている。
1位:真の最強=エリザベス皇太后(The Queen Mother/Marion Bailey → Marcia Warren)
誰もが忘れがちだが、シリーズ全体を通して「影の最強」は間違いなく彼女。
- 夫ジョージ6世の死後、50年以上にわたり王室の実質的な「守護者」として君臨
- ダイアナ騒動の際も「王室は感情で動かない」と徹底的に抑え込む
- シーズン5でチャールズに「王室は君たちのためにあるのではない」と一喝
- 2002年に100歳を超えて亡くなるまで、誰よりも「王室のルール」を体現し続けた
彼女は決して表に出ない。
しかし王室が崩壊しかけた時、いつも背後で糸を引いていた。
権力も野心も表に出さず、ただ「王室という制度」を守り抜いた。
それこそが本当の「最強」。
総括:このドラマで一番怖いのは「王冠」そのもの
『ザ・クラウン』が教えてくれるのは、個人としての強さでは誰も勝てないということ。
勝てるのは「王室というシステム」に完全に染まった者だけ。
だからこそ、エリザベス皇太后こそが不動の1位なのです。
