パーティー・ダウン 最強ランキング
アメリカのコメディドラマ『パーティー・ダウン』(Party Down)は、ケータリング会社で働く野心的な俳優や脚本家たちの日常を描いたブラックユーモア満載のカルト的人気作品だ。2009年から2010年にかけてStarzでシーズン1と2が放送され、2023年に13年ぶりにシーズン3が復活した。全シーズンを通して登場するキャラクターたちの中から、純粋に「最強」——つまり、精神的なタフさ、適応力、ユーモアのセンス、人生を乗り切る力、そして視聴者が「こいつが一番強い」と感じる総合的な強さを基準にランキングを作成した。
第1位:ヘンリー・ポラード(Henry Pollard) – アダム・スコット
文句なしの最強キャラクター。シーズン1の時点で既に「Are we having fun yet?」のビールCMで人生のピークを迎え、どん底に落ちた男。それでもケータリングの仕事を淡々とこなし、愚痴を言いながらも決して完全に折れない。シーズン2でようやく俳優として小さなチャンスを掴み、シーズン3では高校の教師として安定した生活を送っているが、それでもパーティー・ダウンの世界に引き戻される。どんなに惨めな状況でも自虐ネタで笑いに変え、諦めと希望の狭間でバランスを取る姿は、まさに最強の証。ヘンリーがいなければこのドラマは成り立たない。彼は「負け犬の王」でありながら、最も人間らしく、最も強い。
第2位:ロマン・デビア(Roman DeBeers) – マーティン・スター
SF作家を目指す自意識過剰なオタク。しかしその自意識の強さが逆に鋼のメンタルを作り出している。どんなに馬鹿にされても、どんなに惨めな扱いを受けても、自分の世界観を絶対に曲げない。シーズン3でも「ハードSF」への執着は変わらず、ポッドキャストを始めたり新しいカルト宗教的な集団に入ったりと、相変わらずのロマン節を炸裂させている。周囲がどれだけ現実を見ろと言おうと、彼は自分の妄想の中で生き続ける。その不屈の精神は、ヘンリーとは違う形で最強だ。ロマンは決して勝たないが、決して負けもしない。
第3位:カイル・ブラッドウェイ(Kyle Bradway) – ライアン・ハンセン
シーズン3からの新メンバー。見た目は完璧なイケメン俳優志望だが、中身は空っぽ。しかしその空っぽさが最強の防御力になっている。どんなに侮辱されても、どんなに惨めな役を押し付けられても、ニコニコと受け流す。自己認識が極端に低く、だからこそ傷つかない。シーズン3でインフルエンサーや俳優としてある程度成功しかけるが、それでも本質は変わらない。カイルの強さは「何も理解していないこと」にある。無知は時に最強の盾だ。
第4位:ケイシー・クライン(Casey Klein) – リズ・ケイコ
シーズン1・2のメイン。コメディエンヌを目指す女性で、ヘンリーの恋人になる。明るく前向きで、どんなパーティーでも積極的に場を盛り上げる。だがその裏には強い野心とプライドがあり、シーズン2の終わりで大きなチャンスを掴んで去っていく。シーズン3ではカメオ出演のみだが、成功したコメディエンヌとして描かれている。ケイシーは「勝ち組」になる数少ないキャラクターで、精神的な強さというより、現実を掴み取る実行力が強いタイプだ。
第5位:コンスタンス・カーメル(Constance Carmell) – ジェーン・リンチ
年齢を重ねても女優の夢を諦めない永遠の楽天家。どんなに小さな役でも全力で喜び、どんなに悲惨な状況でもポジティブに変換する。その底抜けの明るさは、もはや狂気すれすれだが、それが彼女の強さだ。シーズン3でも変わらず登場し、相変わらずのコンスタンス節を炸裂させている。彼女は決して成功しないが、決して不幸にもならない。永遠に「明日こそ大役が来る」と信じ続けられる精神力は、尊敬に値する。
第6位:ロン・ドナルド(Ron Donald) – ケン・マリーノ
シーズン1・2のマネージャー。真面目で責任感が強く、ケータリング会社を本気で立て直そうとするが、常に失敗する。シーズン2でフランチャイズの夢を追い、シーズン3ではスープ屋のオーナーになっている。ロンの強さは「何度転んでも立ち上がる」点にあるが、同時に「学ばなさすぎる」点で弱い。だがその純粋さと頑張りは、視聴者の心を掴む。ロンはいわゆる「善人」であり、善人が報われない世界でそれでも頑張り続ける姿に、静かな強さを感じる。
第7位:リディア・ダナム(Lydia Dunfree) – メーガン・ムラーリー
シーズン3からの新メンバー。娘のエスクードを芸能界に入れようとする過保護な母親。宗教的で保守的だが、どこかズレている。その強さは「自分の信念を押し通す力」にあるが、周囲との軋轢が多すぎて消耗するタイプ。リディアはパーティー・ダウンの世界に馴染めず、孤立しがちだが、それでも自分の道を突き進む。ある意味で頑固さが強さになっている。
第8位:エスクード(Escapade Dunfree) – タイラ・バンクス
シーズン3の新人。インフルエンサー兼女優志望の若者。自信過剰で野心家だが、まだ未熟。母リディアとの関係に悩みながらも、自分の道を模索する。エスクードの強さはこれから伸びる可能性にあるが、現時点ではまだ最強とは言えない。将来性は高いが、今はランキング下位。
『パーティー・ダウン』のキャラクターたちは誰もが「成功しない人々」だが、その中でどう生きるかが描かれている。最強とは、成功することではなく、失敗し続けても自分らしくいられること——このドラマが教えてくれるのは、まさにそれだ。ヘンリー・ポラードはその象徴であり、だからこそ彼が永遠の1位なのだ。
