ミステリー・サイエンス・シアター3000 最強エピソードランキング TOP10

ミステリー・サイエンス・シアター3000 最強エピソードランキング TOP10

ミステリー・サイエンス・シアター3000(通称MST3K)は、1988年から続く伝説的なB級映画リフカルト番組だ。衛星に閉じ込められた人間とロボットたちが、狂気の科学者から強制的に最悪の映画を見せられ、それをリアルタイムでツッコミを入れまくるというコンセプトは、他に類を見ない独自性を持っている。30年以上にわたり200本以上のエピソードが制作され、ファンの間で「どの回が一番面白いか」は永遠の議論の的だ。

ここでは、筆者がこれまで視聴してきた中で、笑いの密度、リフの鋭さ、対象映画のひどさ、全体の完成度を総合的に判断して選んだ「最強エピソード」ランキングを発表する。あくまで一人の熱心なファンの主観であることをお断りしておく。

第10位:Manos: The Hands of Fate (シーズン4 エピソード424)

「マノス 運命の手」は、MST3K史上最も有名な「最悪映画」の一つだ。素人演技、意味不明のストーリー、照明の暗さ、音声の悪さ……すべてが破綻している。この映画のひどさがあまりにも極端で、リフが追い付かない瞬間すらある。それでも「Torgo’s theme」が流れるたびに繰り出されるジョークの連打は圧巻。特にトーゴの膝の演出に対する執拗なツッコミは伝説級だ。初心者には少しハードルが高いかもしれないが、MST3Kの「底辺の深さ」を知るには必見。

第9位:Space Mutiny (シーズン8 エピソード820)

通称「宇宙のバッファロー・ギャラクシー」。80年代南アフリカ産の低予算SFアクションを徹底的にいじる回。主演の老け顔ヒーローに対する「Slab Bulkhead」「Fridge Largemeat」といった偽名連発が爆笑必至。戦闘シーンのスローモーションや、謎のレールガンおばあちゃんダンスなど、リフのネタに困らない素材が満載だ。後半の「Put your faith in BLAST HARDCHEESE!」は名言として今も語り継がれている。

第8位:The Final Sacrifice (シーズン9 エピソード910)

カナダ産の超低予算アドベンチャー映画を扱った回。主人公の少年が演技を放棄しているかのような棒読みと、悪役Zap Rowsdowerのダサさが際立つ。CrowとTom Servoが「Rowsdower!」を連呼するリフは中毒性が高く、見終わったあと数日頭から離れなくなる。クライマックスの失踪した古代文明の遺跡がただの丘だったときの絶望感も見事だ。Comedy Central時代末期の名作。

第7位:Mitchell (シーズン5 エピソード512)

ジョエル最後のエピソードとして有名。酔っ払い刑事ミッチェルを演じるジョー・ドン・ベイカーの脂ぎった存在感が強烈すぎる。リフのハイライトは「Mitchell!」というシンプルな叫び声の連発と、終盤のジョエル脱出劇。映画自体が退屈な70年代刑事ものなのに、リフのおかげで最後まで笑いっぱなしになる。ジョエルファンにとっては特別な一作だ。

第6位:Pod People (シーズン3 エピソード303)

「It stinks!」の誕生回。E.T.のパクリのようなフランス・スペイン合作ホラー映画をいじる。トランプという謎の宇宙人が登場し、麦わら帽子をかぶった少年との交流がシュールすぎる。名曲「Idiot Control Now」の初登場回でもあり、ホストセグメントも充実。映画のトーンがコロコロ変わる支離滅裂さが、リフの自由度を最大限に引き出している。

第5位:Santa Claus Conquers the Martians (シーズン3 エピソード321)

クリスマス定番エピソード。火星人がサンタを誘拐するという筋書きの60年代キッズ映画を徹底的にからかう。緑のメイクの火星人、極端に安っぽいセット、意味不明なロボット……ネタの宝庫だ。「Droppo, you’re the laziest man on Mars!」などのリフが秀逸。ホストセグメントでのクリスマスソングパロディも最高で、毎年12月に見返したくなる不朽の名作。

第4位:The Brain That Wouldn’t Die (シーズン5 エピソード513)

首だけになった婚約者を生かしておく狂気の実験を続ける科学者の映画。首の女性Jan in the Panに対する執拗なツッコミと、クローゼットに閉じ込められたモンスターの扱いが最高にブラック。リフのテンポが非常に良く、特に「Jan in the Pan」の連呼は狂気的。B級ホラーの醍醐味を味わえる一作だ。

第3位:Werewolf (シーズン9 エピソード904)

90年代に作られたとは思えない低クオリティの狼男映画。変身シーンがただのフェードアウト連発だったり、ナレーションが異常に多いなど、突っ込みどころが無限にある。Servoの「Endless!」連呼や、狼男の旗を使った殺し方に対するリアクションが爆笑もの。Sci-Fi Channel時代の最高傑作の一つで、リフの攻撃力が異常値に達している。

第2位:This Island Earth (劇場版 Mystery Science Theater 3000: The Movie)

唯一の劇場版。50年代のSF大作「地球盗難」をターゲットにしているため、他のエピソードに比べて映画自体のクオリティは高い。それでもMetalunaのミュータントやInterociterの組み立てシーンに対するリフは容赦ない。劇場版ならではの映像美と音響を活かしたホストセグメントも素晴らしい。短縮版ゆえにリフの密度が異常に高く、初心者にもおすすめできる完成度だ。

第1位:Manos: The Hands of Fate 再び? いや、違う。栄光の第1位は……The Pumaman (シーズン9 エピソード903)

筆者にとっての不動の最強エピソードは「プーママン」だ。イタリア産の超低予算スーパーヒーロー映画で、主人公の飛行シーンがただの横倒しカメラワークだったり、ベルトを巻くだけで変身するダサさ、悪役の紙製マスクなど、すべてが完璧にひどい。リフの連打は番組史上最高クラスで、特に「He flies like a moron!」の繰り返しは伝説。Crowの「Puma? Man?」という困惑した声や、Mikeとボットたちの絶望感が画面から溢れ出している。笑いが止まらなくなる危険性がある、まさにMST3Kの頂点に立つ一作だ。

以上が筆者の考えるMST3K最強エピソードランキングだ。もちろん人によって順位は大きく変わるし、100本以上ある名作の中から10本を選ぶのは苦渋の選択だった。まだ見たことのない人は、NetflixやYouTubeで配信されている回からぜひ触れてみてほしい。この番組の魅力は一度ハマったら抜け出せない、底なしの笑いの沼だ。

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