ダイ・ハードシリーズ 最強ランキング
ダイ・ハードシリーズは、ブルース・ウィリス演じる不屈の刑事ジョン・マクレーンが、圧倒的な不利な状況でテロリストや犯罪者たちを次々と倒していくアクション映画の金字塔だ。1988年の第1作目から始まり、これまでに5作が公開されている(スピンオフ的な作品は除外)。どの作品も緊張感あふれるシチュエーションと、マクレーンのタフさが魅力だが、ファンの中では「どれが一番面白いか」「どれが一番アクションとして優れているか」で意見が分かれる。
ここでは、純粋に「最強=総合的に見て一番優れた作品」という観点で、私なりのランキングを作成してみた。評価基準は、ストーリーの独創性、アクションシーンの迫力、緊張感の持続、キャラクターの魅力、名シーンの多さ、そして何度見ても飽きない再見耐性の6点だ。あくまで主観なので、異論は大歓迎だ。
5位:ダイ・ハード4.0(2007年)
シリーズの中で最も評価が分かれるのがこの4作目だ。原題は「Live Free or Die Hard」で、日本では「4.0」という謎のサブタイトルが付けられた。マクレーンがサイバーテロに巻き込まれ、若者ハッカー(ジャスティン・ロング)とコンビを組んで戦う話。
正直、シリーズ中最下位にせざるを得ない。理由はシンプルで、「ダイ・ハードらしさ」が一番薄いからだ。敵が国家レベルのサイバーテロ組織で規模が巨大すぎるし、戦闘機をハッキングして爆破したり、ハイウェイで戦闘機とカーチェイスしたりと、やりすぎ感が強い。マクレーンがトラックで戦闘機を落とすシーンは確かに派手だが、「人間離れしすぎ」てリアリティが完全に失われている。1~3作目の「ただの人間が知恵と根性で勝つ」という魅力が希薄になってしまったのが残念だ。それでも、後半の緊張感は悪くないし、ティモシー・オリファントの冷徹な悪役は良かった。ただ、シリーズ全体で見ると一番弱い。
4位:ダイ・ハード/ラスト・デイ(2013年)
原題「A Good Day to Die Hard」。ロシアを舞台に、マクレーンが息子ジャック(ジェイ・コートニー)と共闘する親子アクションだ。
これも評価が低い作品の一つ。最大の問題は、息子ジャックの存在がマクレーンを食ってしまっている点だ。マクレーンは相変わらずタフだが、息子がCIAエージェントで有能すぎるため、父親の「ただのニューヨークの刑事」という孤立感が薄れてしまう。アクションは派手でチェルノブイリでの銃撃戦やヘリコプターとのチェイスは見応えがあるものの、ストーリーが単純すぎて深みに欠ける。敵の動機も陳腐で、全体的に「シリーズの焼き直し感」が強い。それでも、マクレーン親子の掛け合いは微笑ましく、アクションだけなら及第点。シリーズ最低という声も多いが、4.0よりはまだ「人間らしいマクレーン」が残っているので、こちらを4位にした。
3位:ダイ・ハード3(1995年)
原題「Die Hard with a Vengeance」。サミュエル・L・ジャクソン演じるゼウスとマクレーンが、ジェレミー・アイアンズ演じる天才テロリスト・サイモンと知恵比べを繰り広げる。
この作品の最大の魅力は、ニューヨーク全域を舞台にした「爆弾解除ゲーム」の緊張感だ。地下鉄爆破から始まり、学校爆破の脅し、ダム、銀行強奪と、次々と仕掛けられる罠に翻弄される展開は息もつかせない。サイモンの「復讐」がハンス・グルーバーの兄という設定も、1作目との繋がりがあってファン心をくすぐる。マクレーンとゼウスの掛け合いも最高で、シリーズ屈指のバディムービー要素がある。アクションも街中での爆破やチェイスが迫力満点だ。
ただ、終盤の北米展開が少し強引で、サイモンの計画が大味になってしまうのが惜しい。それでも、シリーズの中では非常に完成度が高い。多くのファンが「1と3が双璧」と言うのも納得の出来だ。
2位:ダイ・ハード2(1990年)
空港を舞台に、麻薬カルテルの将軍を救うためのテロリストと戦う続編。1作目の2年後のクリスマスイブという設定も完璧だ。
この作品の強みは、1作目とほぼ同レベルの緊張感とリアリティを保ちつつ、規模を拡大している点だ。ダレス国際空港全体がテロリストに支配され、管制塔が乗っ取られる状況で、マクレーンがたった一人で立ち向かう。雪の滑走路での銃撃戦、飛行機への潜入、イジェクターシートでの脱出など、名シーンが連発する。特に、管制塔を爆破して飛行機を墜落させるシーンは、シリーズ史上最も残酷で衝撃的な場面だ。
敵の将軍役ウィリアム・サドラーも冷酷で良い悪役だし、空港という閉鎖空間の使い方も上手い。1作目の「高層ビル」から「空港」へのスケールアップが成功している。欠点は、敵の動機が少し単純なことくらい。総合力では1作目にわずかに及ばないが、アクション映画としての完成度は極めて高い。
1位:ダイ・ハード(1988年)
言うまでもなく、オリジナルこそが最強だ。ナカトミプラザを占拠したハンス・グルーバー率いるテロリストと、たまたま訪れていたマクレーンが戦う。
この作品が不朽の名作たる理由は、数え上げればキリがない。高層ビルという閉鎖空間での戦い、無線でのやり取り、靴を脱いだままの裸足バトル、「Yippee-ki-yay, motherfucker」の名台詞、アラン・リックマン演じる知的で魅力的な悪役ハンス、屋上爆破、ホリーとの夫婦ドラマ……すべてが完璧だ。
特に、ストーリーのシンプルさとリアリティのバランスが天才的だ。マクレーンは超人ではなく、血まみれになりながら、知恵と運と根性で勝つ「普通の人間」として描かれている。だからこそ観客は感情移入できる。アクションシーンも今見ても色褪せず、ガラスを踏む足の痛みや、狭いダクト内の息苦しさまで伝わってくる。
シリーズのすべての作品は、この1作目の影を追い続けていると言っても過言ではない。クリスマス映画としても最高で、何度見ても新しい発見がある。アクション映画の歴史を変えた、まさに最強の1本だ。
以上が私のダイ・ハードシリーズ最強ランキングだ。あなたはどう思う? 1位が違うという人は多いかもしれないが、オリジナルを超える続編はそうそう生まれない。それがこのシリーズの偉大さでもある。機会があれば、全作通しで観直してみてほしい。きっとまた「ジョン・マクレーンは本当にタフだ」と感動するはずだ。
