銀行強盗 最強ランキング TOP10
銀行強盗とは、古今東西の犯罪史の中で最も大胆で知的な犯罪の一つだ。単なる力任せの犯行ではなく、緻密な計画、完璧な実行力、そして時には天才的な発想が要求される。ここでは、歴史上実際に起きた銀行強盗事件の中から、「最強」と呼ぶにふさわしいものを独断と偏見でランキング形式で紹介する。基準は、盗んだ金額の規模、犯行の手口の巧妙さ、逃亡の成功度、警察を翻弄した期間、そして何より「伝説として語り継がれる度合い」だ。
第10位:ブラジル・フォルタレザ中央銀行強盗(2005年)
犯人グループは3ヶ月かけて銀行の隣の家から80メートルのトンネルを掘り、週末に侵入。約1億6000万レアル(当時約7000万ドル)を盗み出した。トンネルはコンクリートで補強され、照明と換気設備まで完備されていた。主犯格は逮捕されたが、大半の金は回収されず、犯人の一部は今も逃亡中とされる。地道な努力の結晶とも言える犯行だ。
第9位:ダンバリーズ銀行強盗(1976年・アイルランド)
IRA(アイルランド共和軍)が関与したとされる事件。銀行員の家族を人質に取り、銀行員本人に金庫を開けさせた。約2600万ポンド(当時約5000万ドル相当)を奪取。政治的テロと犯罪の境界線上にある事件だが、完璧な人質作戦と迅速な撤収は見事だった。
第8位:ノーザン銀行強盗(2004年・北アイルランド)
これまたIRA関与が疑われる大規模強盗。銀行幹部の家族を人質に取り、内部協力者を使って約2650万ポンドを奪った。犯行後の資金洗浄ルートが巧妙で、追跡が極めて困難だった。政治的背景が強いが、純粋な強盗テクニックとしても高い評価に値する。
第7位:セーシェル国際空港銀行強盗(1982年)
南アフリカの傭兵グループがセーシェルをクーデターで乗っ取ろうとした際の副産物。失敗したクーデターの帰りに、空港で没収された現金約300万ドルをそのまま持ち帰ったという、なんとも図太い事件。計画性のなさが逆に伝説を生んだ。
第6位:ユナイテッド・カリフォルニア銀行強盗(1972年・アメリカ)
ニクソン大統領の再選資金に関連する黒い噂がある強盗。約3000万ドル相当の現金と有価証券を盗んだとされるが、公式記録では900万ドル程度。金庫室にドリルで穴を開けるという古典的手法ながら、ターゲットの選定が天才的だったと言われる。
第5位:ブリンクス・マット倉庫強盗(1983年・イギリス)
ロンドンのヒースロー空港近くの倉庫から、金の延べ棒3トン(約2600万ポンド)を奪った事件。内部情報に基づく完璧な襲撃だったが、後の資金洗浄が杜撰で多くの関係者が逮捕された。しかし、盗まれた金の多くは今も行方不明で、「呪われた金」として語り継がれている。
第4位:ボストン美術館強盗(1990年・アメリカ)
厳密には銀行ではないが、銀行強盗に匹敵する大胆さゆえにランクイン。警察官に変装した2人組が美術館に侵入し、約5億ドル相当の絵画を盗んだ。未解決事件の代表格で、犯人は30年以上経った今も特定されていない。芸術を対象にした「優雅な強盗」として人気がある。
第3位:イラク中央銀行強盗(2003年・イラク戦争中)
フセイン政権崩壊直前、サダムの息子クサイが命令したとされる強盗。トラック数台分で約10億ドルを奪取。戦争の混乱に乗じた究極の内部犯行であり、金額の規模は圧倒的。ほとんどが紙幣の束で、物理的に運び出すだけでも大変だったはずだ。
第2位:ストックホルム・ノルマルムストーグ広場銀行強盗(1973年・スウェーデン)
いわゆる「ストックホルム症候群」の語源となった事件。犯人は6日間の人質立て籠もりを展開し、警察を完全に翻弄。要求した現金約70万ドルは得られなかったが、人質との心理的な結びつきを生み出し、世間の同情まで集めた。犯罪史に残る心理戦の傑作。
第1位:ブラジル・サンパウロ・カランディル強盗(2006年)
南米最大の銀行強盗とされるこの事件は、完璧すぎる計画と実行力で断トツの1位に選んだ。PCC(首都第一命令)と呼ばれる犯罪組織が、銀行の現金輸送センターを襲撃。約1億6500万レアル(当時約7500万ドル)を奪い、警察との銃撃戦を制して逃走。事前の情報収集、武装の充実、撤収ルートの確保、すべてがプロフェッショナルだった。逮捕されたメンバーはいるが、主犯格は未だに自由の身と言われている。現代の銀行強盗における「究極の教科書」と呼べる犯行だ。
まとめ
銀行強盗は、時代とともに手法も変わってきた。昔は銃を突きつける古典的なスタイルが主流だったが、現代ではトンネル掘削、内部協力、人質を使った心理戦、さらには戦争やテロの混乱に乗じる形まで多岐にわたる。しかし、共通しているのは「大胆さと緻密さの両立」だ。上記の事件はどれも、普通の人間には到底真似できないレベルの計画と実行力を誇っている。無論、犯罪を推奨するものではないが、犯罪史の一ページとして、これらの「最強」たちは永遠に語り継がれるだろう。
